そしてあたりがすっかり暗くなった頃、幼稚園の中は恐ろしいいお化け屋敷に変わっていたのでした。「ひえーっ！」
お泊まり会の相談をした時におばけの話が持ち上がって、もちろん担任は、「えっ、おばけ？みんなほんとにいいの？」と何度も子ども達に確認しました。そのとき、みんなは実際どれほど恐ろしいかを知らずに。「やりたい！」とか「ぜったいやる！」とか口走ったようです。そして当日の夜が来ました。草木も眠る丑三つ時、園舎の中は暗くシーンとしています。こりす組に集まって、グループごとに出発しました。
（あらかじめお断りしますが、この時記者はある事情で身柄を拘束されていて、他のおばけ達の様子、子ども達の様子を全然取材することができず、その後の取材をもとに記事を書いています。）
はじめにホールに行くと、不気味な雪女がフラフープの挑戦を仕掛けてきたそうです。雪女、浴衣なんですね。雪の中で寒さ知らずというか。みんなは、「望むところだ！」とどっちが長く回せるかの競争になり、無事この関門を通過したようです。
 
何とか雪女におさらばしたと思ったら、今度は底なしの沼に河童が待ち構えていました。そして綱引きに勝たなければ先に進めないというのです。下手をすると沼に引きずり込まれてしまいます。
 
戦いはこんな風にガチンコ勝負。でも、子ども達の気合が河童に勝りました。子ども達はこうして第２の関門を通過したのです。
 
ホールから年中長組の廊下に行く入り口で、大きなニンニクに気づいた子ども達、これをゲットして先に進みました。これが後で大変役に立つことになるとはその時は知る由もありませんでした。暗い廊下を進むとばら組がありました。そこには、ああ思い出すのも恐ろしい一つ目小僧が子ども達を待ち受けていたのです。力持ちを自慢した一つ目は、みんなに相撲に勝ったら通してやると持ちかけたのです。あの力自慢に誰が勝てるでしょうか。ところが、いたのです。自分の身を賭して戦いに挑む勇気ある子ども達が。渾身の力を振り絞って一つ目を倒して、ようやく第３の関門を通過したのでした
 
ところが、悪いことは重なるのが人生というものです。一難去ってまた一難。多分今回のおばけの中でも最も恐ろしいのはこの方だったのではないでしょうか。人呼んでドラキュラ。闇夜でいきなりこれに出会って、叫んだり卒倒したりしない人はいないと思います。
 
このドラキュラが、ダンスで勝負を挑んできました。何か踊っているようなんですけれど、この恐ろしいシーンに、なぜかマリ先生が笑い顔で口を押さえています。（後で聞きましたが、この時、吹き出すのを堪えるのが苦しかったそうです。）どれだけ面白い踊りだったのでしょうか。
 
お子達も、負けずに踊っています。勇気あるA君、先頭で踊っていますね。ここで先ほどのニンニクが登場しました。ドラキュラは一撃でやられてしまいました。こうして第四の関門を通過していよいよ最後の関門へ。
 
途中には気味の悪いコウモリや、一反もめんなどが天井から子ども達の隙を狙っています。年中長のトイレの脇を通り過ぎようとした時でした。いきなり潜んでいた鬼が「ウオーッ」と大声で子ども達に襲いかかろうとしたようです。ありったけの声で、「キャーッ！」と叫んで逃げ込んだのがひまわり組。そこには閻魔大王が子ども達を地獄に落とすために待ち構えていたのでした。
「だれだー、お前達は！」ものすごい声で叫んだそうです。
「◯◯グループです」と子ども達。「何しに来た」「宝を探しに」こんなやり取りがあって、（「やけにこの部分だけ細かく知っていますねって？」世の中いろんな事情があるのです。）

はじめは宝をやらないと言っていた大王も、クイズが解けたらやってもいいと、妥協案を提示してきました。「でも、もし答えられなかったら、お前達の中の一人にここに残ってもらうぞ。いいのか？」なんという非情な条件でしょう。ここまで一緒に頑張ってきた仲間を置いていくことはできません。でも、みんなは勇気を出して、きっと正解するからクイズに挑戦するというのです。（やけに詳しいなー。この部屋だけ。）
そこで、「水族館でニジマスを丸呑みした魚はどれか。１ かとうくん、２ さとうくん、３ いとうくん。さあどれだ？」こんな難しい質問も、すらすら答える子ども達。大王も宝を渡さないわけにはいきませんでした。

こうして、ゴールのすみれ組についた子ども達。大歓声が隣の部屋にも聞こえてきました。（えっ？隣の部屋？）
まり先生曰く、「子ども達の達成感が、ものすごく強く感じられました。」
マスカットグループおめでとう。

フルーツグループおめでとう。

花火グループおめでとう。
   
というわけで、行方不明になった子も、怪我をした子も、おばけに襲われた子もいず、全員無事でお楽しみ会を終えることができたのでした。ご協力いただいた本物のおばけさん達ご苦労様でした。なお、某社のカメラマンによれば、今年の肝試し、他の園を入れて４回目だそうですけれど、北見幼稚園の企画は中でも一番恐ろしいものの一つだったそうです。他のところでは、ギャン泣きの子続出とか。すみれ組のみんな、結構つよーい！